ケーススタディ

店舗のレビューを効果的に集める方法と戦略

店舗レビューは、現代の市場において、消費者が商品・サービスの購入を決定をする上で最も重要な要素の一つです。

しかし、店舗が顧客からレビューを得ることは容易ではありません。顧客に商品やサービスの評価を投稿してもらうには、まず正しいアプローチ方法を理解する必要があります。

本記事では、店舗を訪れる顧客のレビュー獲得方法や戦略をご紹介します。店舗レビューの活用法を学び、自店の評判を高めて、小売ビジネスを成長させましょう。

 

店舗レビューの重要性

楽天、Amazon(アマゾン)、Yahoo!(ヤフー)を筆頭に、ECモールやネットショップなどのオンライン市場では、カスタマーレビューや口コミが売上に大きな役割を果たしています。

BASE(ベイス)がショッピングサービス「Pay ID」の利用者を対象に実施した「ネットショッピングにおける消費者動向調査」(2023年)によると、9割以上の消費者が購入前にネット上のレビューをチェックすると回答しています。

また、株式会社Pathee(パシー)が実施した「実店舗来店前のネット利用に関する調査」(2021年)では、全体の78%の消費者が、日用品以外の商品の購入にあたり、実店舗に来店する前にネットで情報を調べていることがわかりました。

コロナ渦に実施した調査のためか、顧客が実際に調べていた情報としては「営業時間」「所在地」が最も多かったものの、次いで「ECの販売状況(58.5%)」「利用者の口コミ(55.5%)」「人気商品・目玉商品(50.2%)」「利用できる決済サービス(49.4%)」「店内の雰囲気(41.9%)」と続きました。

これらの調査から、ECサイトだけではなく実店舗においても、口コミを含むオンラインの掲載情報が、顧客の来店を促すために重要な役割を果たしているとも言えます。

参照

  1. ショッピングサービス「Pay ID」より、ネットショッピングにおける消費者動向調査2023を初発表いたしました|BASE U
  2. 株式会社Pathee、実店舗来店前のネット利用に関する調査を実施|株式会社Pathee|PR TIMES

 

リアルな顧客の声がショップにもたらすメリットとは?

店舗レビューが小売店にもたらすメリットには、どのようなものがあるでしょうか。

まず、店舗レビューは消費者にとって信頼性の証です。レビューが多いほど、その店舗の信頼性が高まり、消費者は店舗を利用しようという気になります。また、レビューには対象となるショップのサービスや商品についての具体的な情報が含まれているため、顧客はこれを参考にし、購入の判断材料とすることができます。

次に、店舗レビューはSEO(検索エンジン最適化)に対する大きなメリットがあります。これは、小売店がECサイトを持っている場合以外でも有効です。

検索エンジンは、ユーザーが必要とする情報を提供しているサイトを高く評価します。そのため、レビューが多いほど、その店舗のウェブサイトは検索エンジンから高く評価され、検索結果の上位に表示されやすくなります。

その結果、店舗の知名度が上がり、ユーザー数・入店者数が増えたり、売上向上につながりやすくなります

最後に、レビューは店舗の改善にも役立ちます。消費者の意見や要望を取り入れ、改善を行うことで、より多くの顧客に支持され、愛される店舗にすることができます。

以上のように、店舗レビューは消費者の信頼性向上、購入決断の判断材料として生かされるほか、SEO対策、自店の改善という4つのメリットをもたらします。

オンライン店舗、オフライン店舗を問わず、レビューの獲得はショップ運営者にとって重要であると言えるでしょう。

 

店舗の評価が顧客の購入率に影響を与えている?

インターネットの普及により、消費者の購買行動は大きく変化しました。

消費者が実際に商品やサービスを購入する前に、他のユーザーの評価やフィードバックをチェックする傾向は、益々強まっています。

特に、ECサイトや、レストラン、美容院、エステサロンのようなサービス業では、レビューの存在は消費者の選択に直接的な影響を与えます。

「新商品に関するクチコミの研究」(Arndt、1967年)によると、肯定的な口コミと接した人は、そうでない人に比べて購入率(※)が12%上がり、否定的な口コミと接した人は、そうでない人に比べて購入率が24%下がるという結果を示しました(「ネット・クチコミが消費者行動に及ぼす影響のメカニズム : 中国の旅行サービスに関する実証的研究」蘇文、2015年)。

蘇文氏は、この論文の中で、クチコミの影響力の程度を規定するのは“感情の強さ”であり、ポジティブな感情を持つクチコミは消費者の購買行動を促進し、ネガティブな感情を持つクチコミは消費者の購買行動を阻害すると述べています。また、ポジティブな感情が強いほど、購買行動を促進する効果が強く、ネガティブな感情が強いほど、購買行動を抑制する効果が強くなることを説明しています。

つまり、ポジティブな感情を強く持つレビューに接した多くの消費者が多くいれば、購入数が上がり売上が向上するといった期待が持てるのです。これは、口コミやレビューが、顧客間における単なる意見交換以上の価値を持つものであり、小売市場でのビジネスの成功にも関係する、非常に重要な要素であることを示唆しています。

次章からは、「店舗レビューの集め方と活用方法」について、具体的な手順を交えて解説します。

※実店舗の購入率は、POSレジと入店カウンターのデータを組み合わせて算出します。
AIカメラを用いた購入率や来店客一人当たりの客単価の計測方法については、詳しくはこちらのブログで紹介しています。

参照

  1. (PDF)ネット・クチコミが消費者行動に及ぼす影響のメカニズム : 中国の旅行サービスに関する実証的研究|2.2.1.2ネット・クチコミの感情の強さ(P20)|蘇文 著
  2.  

    店舗レビューの集め方と活用方法

    ステップ1 店舗レビューを書いてもらう準備をする

    口コミを投稿するプラットフォームの選定

    顧客にレビューを書いてもらうためには、まず店舗情報を登録し、レビューを投稿できる環境を整える必要があります。

    オンラインショップの場合は、大手レビューサイト、ソーシャルメディアなど、多くのユーザーが訪れるプラットフォームへの登録がお勧めです。

    また、店舗の公式ウェブサイトやブログ記事などに投稿フォームを設置する方法もあります。直接顧客からの声を聞くことができ、自社サイトでの情報発信に生かせます。

    実店舗の場合は、Googleビジネス プロフィールの設定を行い、Google Map(グーグルマップ)で店舗情報を公開することで、Google ユーザーの口コミを受け付けることができます。

    実店舗とネットショップの双方がある小売店の場合は、オンラインで購入した顧客の各商品へのレビューや星評価を、リアルでもPOPなどで掲示することで、実店舗でのさらなる集客が見込めます。

    飲食店であれば、ホットペッパーグルメ、食べログやRetty(レッティ)などにも店舗情報を掲載し、集客効果を強化しましょう。

    オリジナルのコスメ・ビューティを取り扱うメーカーであれば、@cosme(アットコスメ)に商品登録することで、ユーザーは口コミを投稿することができるようになり、閲覧者が増えれば自社製品の認知拡大につながります。

    参照

    1. Google ユーザーにクチコミを投稿してもらう|Google
    2. 食べログ店舗会員登録|カカクコム グループ
    3. Rettyお店会員なら 今必要な集客対策が全て揃う|Retty株式会社
    4. @cosmeに掲載したい方はこちら|株式会社アイスタイル

     

    投稿しやすい環境づくり

    レビューを依頼する際には、顧客が店舗レビューを書きやすい環境を作ることが重要です。そのためには、いくつかのポイントがあります。

    投稿のしやすさ

    顧客が手間をかけずにレビューを投稿できる環境を整えます。例えば、投稿フォームを見つけやすい場所に設置し入力項目は少なくしたり、レビューを書くためのリンクをメールやSNSの投稿に直接貼り付けたり、QRコードを用いてスマホから簡単にアクセスできるようにする、などです。

    また、レビュー投稿にログインや会員登録を必要としない手段を選ぶと、より多くの顧客からのレビューが見込めます。

    レビューの公平性

    良い評価だけでなく悪い評価も公平に扱うことが重要です。そうすることで、顧客は自分の意見が尊重されると感じ、レビューを投稿しやすくなるでしょう。

    レビューへの対応

    レビューに対して店舗側からの返信や対応があると、顧客は自分の気持ちが届いていると感じます。レビューを受け付ける場合は、様々な声に対して真摯に受け止めることが重要です。

    以上の点を踏まえ、顧客がレビューを書きやすい環境を作ることで、顧客との関係を構築したり、店舗のサービス向上や製品改善に役立つ意見を得られやすくなるでしょう。

    次のステップでは、実際に「顧客にレビューをお願いする方法」について説明します。

     

    ステップ2 顧客にレビュー投稿を依頼する

    レビュー依頼のタイミングと方法

    レビューを依頼するベストなタイミングや方法は、お店のサービス、商品の種類などにより異なりますが、基本的には顧客が満足度の高い経験をした直後が最適です。

    具体的な依頼手段としては、以下のようなものが考えられます。

    1. 商品と一緒に渡すレシートやフライヤー(チラシ)にQRコードを掲載して、レビューを促す
    2. LINEやInstagramなどのSNSを活用し、フォロワーに対してレビューの依頼を投稿する
    3. 対面や電話で後日直接感想を聞き、ついでにレビューの依頼をする

    上記の他にも色々な方法がありますが、一般的には、商品のお渡し時やサービスを提供後の“ポジティブな感情”を抱いたタイミングで依頼することで、レビューの質が向上しやすいのでお勧めです。

    具体的な評価を書いてもらう方法

    レビュー獲得は大切ですが、単にレビューが集まれば良いというものではありません。必要なのは「良質な」レビューです。

    ここでいう「良質な」とは、具体的な体験や感想、店舗スタッフの印象などが書かれ、他の消費者にとって有益な情報を持つものを指します。このようなレビューは、自社をより魅力敵に伝え、潜在顧客や見込み客の来店を促すことにもつながります。

    評価を具体的に書いてもらうには、レビューの書き方の見本を提示したり、「何について書いてもらいたいのか」を明確に伝えることが有効です。

    顧客には、商品やサービスの質、店舗の雰囲気、スタッフの対応など、特に評価に入れてほしい項目を指定してレビューを書いてもらいます。

    例えば、「今回ご利用いただいた商品○○の使用感や、接客を担当したスタッフの対応について、あなたの率直な意見を聞かせてください」などと依頼すると、より具体的なフィードバックが得られるかもしれません。

    また、レビューはあくまで「依頼」であり、強制ではないことを明確に伝え、顧客に対する「正直な意見」への敬意を忘れないようにしましょう。そうすることで、より信頼性の高いレビューを集めることができます。

    顧客の声を効率的に集める方法

    多くの顧客からレビューを効率よく収集する方法として、会計時の声かけや、店員さんのちょっとした心遣いが感じられるコミュニケーション、ユニークな顧客体験の提供などが挙げられます。

    レビューが自然に集まる良い商品・サービスを提供することはもちろんですが、例えば、買い物後に直接、またはメールやLINE等でお礼のメッセージを伝えることで心の距離を縮めること、特別な思い出になるようなイベントの実施、思わず知人に教えたくなるようなインパクトのあるPOP UPショップの展開なども、効果的な手法として用いられます。

    また、ここで注意しておきたいのが、以前は口コミの収集やネガティブな投稿の修正・削除に、インセンティブ付与(割引クーポンやポイント、粗品・ノベルティグッズのプレゼントなど)が行われていましたが、現在、このような方法でGoogle等のレビューをユーザーに依頼し改変することは、ガイドラインで不可と定められています(※)。

    以上のように、「ステップ2. 顧客にレビュー投稿を依頼する」際のポイントは、顧客にとってベストなタイミングかつストレスフリーな方法でお願いすること、具体的な評価ポイントを示すこと、顧客との心の距離を縮めたり顧客の心を刺激する仕掛けを作ることが大切です。

    次のステップでは「寄せられたレビューの管理と活用方法」について解説していきます。

    ※2023年10月1日以降、ステルスマーケティング(広告であることを隠蔽することや、消費者が自主的・合理的に商品・サービスを選択することを妨げる行為)は、景品表示法で禁止行為として規制されており、このような行為は法律に抵触するため十分な注意が必要です。

    参照

 

ステップ3 受け取った店舗レビューを管理する

レビュー管理は、顧客とのコミュニケーションを深め、顧客の意見を基にマーケティング戦略を立てたり商品やサービスの改善をすることで、ビジネスの成長に生かすための重要なステップです。これが、レビューを収集する最大の目的です。

口コミの内容を確認する

まずは全てのレビューを確認し、顧客の声を理解します。良いレビューは自社の強みが何であるかを再確認でき、悪いレビューは改善点を見つけるための貴重なフィードバックとなります。

レビューへの返信を計画する

レビューの確認が出来たら、次にレビューへの返信をします。

返信内容が公開されれば、他の顧客も読むことができます。そのため、顧客に感謝の意を示し、礼儀正しくプロフェッショナルな態度で対応することが求められます。

【補足:ネガティブなフィードバックへの対処法とは?】

ネガティブなレビューを受け取った際は、その後の対処の仕方が、顧客満足度やリピート率、顧客が受け取る店舗のイメージに大きな影響を与えます。

ネガティブなレビューが投稿された場合は、まずは冷静に状況を整理し、どのように改善できるかを述べたり、店長やスタッフの誠意を示すことで、顧客の信頼を取り戻すことができます。

また、可能であれば直接顧客に連絡を取り、詳しい事情を聞くこともできます。そうすることで、顧客との関係が修復され、再度来店したり、サービスを利用してくれる可能性が高まります。

マーケティング戦略や自店の課題解決につなげる

収集したレビューはマーケティング活動、自店の商品やサービス改善に活用します。

良いレビューには新たな顧客を引きつける力があります。そのため、ウェブサイトやソーシャルメディア、広告などに取り入れ、積極的にアピールしましょう。

また、レビューは定期的に依頼することが効果的です。それは、自社のブランディングやイメージの確立には、リピーターのレビューが重要であるためです。リピーターからのレビューは集客力を持つだけではなく、商品やサービスの品質が一貫していることを証明するため、店舗ビジネスを維持するうえで、非常に価値があります。

さらに、顧客のレビューから自社の課題を見つけ、商品やサービスの改善ができれば、顧客満足度が上がり、リピーターが増え、店舗の利益を上げることができます。

 

まとめ

本記事では、顧客から店舗レビューをもらうメリットと、効果的なレビュー集めのステップや管理方法について、詳述しました。

レビュー集めで重要なのは、新規顧客の来店を促したり、顧客のフィードバックから自社の課題点を発見し、改善につなげることができる点です。また、レビューを通して顧客との良好な関係の基盤づくりができれば、店舗の信頼度も向上します。

市場は、顧客のニーズとともに常に変化しています。そのため、小売業においても、店舗ビジネスを常に最適化し、成長をし続ける必要があります。

本記事を参考に、レビュー集めの方法や活用法を見直し、更なる売上向上につなげていただければ幸いです。


サービス導入のご相談・ご質問はこちら!

小売店をはじめ800店舗以上の支援実績を持つGROOOVEは、国内外で店舗を持つブランドに対し、店舗がDXで達成したい目的に応じたソリューションを提供することでオペレーション改善を支援しています。

オフライン店舗のパフォーマンス向上・利益アップにつながるお手伝いをいたします。
是非、お気軽にお問い合わせください。

人気の記事
最近の記事
  1. 【2024年版】2023年の小売ビジネスのトレンド振り返りと今後の期待

  2. ビジネスモデル「リテールテイメント」とは?

  3. 人流データxPOSデータ

  4. AIカメラ1台で、どんなことができる?

  5. 店舗分析ツール「入店人数計測システム」とは? 主な“3種類”をご紹介!

  1. 2024年版 日本の小売業売上ランキング30社! TOP10企業から見るトレンド分析

  2. KPIダッシュボードの重要性と効果的な活用法

  3. 店舗スタッフの接客改善:スキル見直しチェックリスト

  4. 【初心者向け】防犯カメラの選択・設置・運用管理のポイント

  5. 【RetailNext共同記事】複合商業施設をショッピングモールの未来形態として考える

お問い合わせ

 

当社製品・サービスをご希望のお客様はこちらからお問合せください。

TOP