本記事は、米国RetailNext社と共同で執筆した記事です。株式会社GRoooVEは、日本を代表するRetailNextのソリューションパートナーです。RetailNextのインストール実績数は日本国内800店舗以上、海外5店舗以上となり、RetailNextのトップパートナーとして、現在も導入数は増え続けています。
小売企業にとって、テクノロジーはビジネスを維持・成長させるための重要な手段であり、店舗運営や顧客との関わり方を変える上で大きな役割を担っています。
数ある革新的なテクノロジーの中でも、AIを活用した店舗分析(インストア・アナリティクス)ツールは、小売ビジネスに新たな変革をもたらしています。
例えば、店頭にAIセンサーを設置し、収集したデータから顧客行動や嗜好、傾向などに関するインサイトを得ることで、店舗の売上促進につなげる企業が増加しています。
本稿では、AIセンサーを導入した大手ブランドの成功事例を交えながら、小売ビジネスにおいて最新のテクノロジーを活用するメリットを10のポイントとしてまとめています。
1. 店舗レイアウトの最適化
小売企業はAIセンサーなどを活用して店舗内の顧客の動きを分析し、顧客エンゲージメント(顧客との接点)を増やしたり店舗レイアウトを最適化し、売上につなげることができるようになりました。
AIセンサーで顧客の動線を取得することで、顧客の店内を回遊・滞留する様子を可視化し、商品前や店内奥にスムーズに誘導できるレイアウト設計ができるようになり、多くの購入につながる売り場づくりを目指すことができます。
実際、アメリカ大手企業の「Apple(アップル)」は、ヒートマップや入店人数データを活用し、戦略的に商品を配置し、店舗のレイアウトを設計することで、顧客体験を向上させ、売上を促進しています。
関連記事:
2. パーソナライズされた顧客体験
顧客分析機能を備えたテクノロジーの利用により、小売業者は個々の顧客の嗜好に関する知見を得ることができます。
例えば、アプリを活用して顧客の過去の購入履歴や商品閲覧履歴を追跡すれば、企業は顧客にパーソナライズされたおすすめ商品や、ターゲットを絞ったプロモーションを提供することができます。
さらに、リアル店舗にAIセンサーを設置することで、顧客が各棚の前で立ち止まる回数や滞在時間を算出し、商品への興味関心度を調査したり、属性(年齢層・性別)ごとの購買行動(*)などを見ることができ、顧客に合わせたアプローチを検討することができます。
* 一部データの取得(購入率・客単価など)には、AIセンサーとPOSレジのデータ連携が必要です。
関連記事:
3. 在庫管理の精度向上
リアルタイムのデータ分析を通じて、小売企業は在庫量、商品の売れ行き、季節ごとの流行やトレンドに関するインサイトを得ることができます。テクノロジーを活用することで、過剰在庫や品切れを減らし、損失を最小限に抑えることが可能になります。
Walmart(ウォルマート)は、在庫管理にRFID技術を活用し、棚に常に十分な在庫を確保することで、業務効率を大幅に向上させ、売上につなげています。
また、店内にAIセンサーを設置して、顧客の各エリアへの滞留状況やスタッフの各業務状況などを可視化することで、在庫管理を徹底したり、在庫の回転率を上げる施策を立てることができます。
関連記事:
4. 顧客エンゲージメントの強化
テクノロジーの進歩により、オフラインとオンラインを問わず顧客とシームレスにつながり、コミュニケーションをとることが容易になりました。
インタラクティブなディスプレイやデジタルサイネージ、そしてスマートミラーは、人目を引くだけでなく、顧客に価値ある商品情報やおすすめ情報を提供します。
また、AIセンサーを店頭に設置することで、サイネージなどの販促物の訴求効果を検証できます。また、販促物が見やすい位置(ゴールデンラインやターゲット顧客の視線の先)に設置されているかを測定したり、各エリアに設置したサイネージへの顧客の反応も検証できます。
関連記事:
5. 会計処理の効率化
レジの長蛇の列や複雑な会計プロセスは、スムーズな会計を妨げ、購買機会の損失を招く可能性があります。
しかし、セルフレジ会計システムやモバイル決済の導入により、小売店は顧客にスムーズで効率的な購入体験を提供できるようになりました。
また、Amazon Go(アマゾン・ゴー)は、レジのない無人店舗を導入し、顧客が商品を受け取り、店を出るだけで買い物を完了できるという、一歩進んだサービスを提供しています。
さらに、AIセンサーを店内に設置することで、レジ前にどれだけの人が並んでいるか、店内がどれだけ混雑しているか(混雑率)などを測定でき、必要な数のスタッフを配置することで、スムーズな購入を促すことができます。
このように、支払いが不要な会計システムを導入したり、AIセンサーなどの最新技術を活用して業務を効率化することで、ストレスフリーな顧客体験を実現し、顧客満足度を向上させ、売上を伸ばすことができます。
関連記事:
6. データ主導型のビジュアルマーチャンダイジング(VMD)
店舗分析を行うことで、顧客の嗜好に基づいた商品の配置や品揃えを行うことができます。
例えば、中東で有名な家電量販店である「Sharaf DG」(シャラフDG)は、データを活用してプロモーションや商品配置を最適化し、売上と顧客ロイヤリティの向上につなげています。
さらに、店舗入口や店内にAIセンサーを設置すれば、エントランスからの各方向へ向かう顧客の割合をパーセンテージで取得したり、VMD(ビジュアルマーチャンダイザー)が設計した店内のビジュアル・レイアウトが顧客の購買に与える影響を検証することもできます。
補足情報
新商品が店頭に並ぶまでには、MD(マーチャンダイザー)が企画担当者とともに、売上調査やデータ分析を行い、新商品の企画・管理・販売指導を行い、バイヤーが仕入先の選定や仕入れを行います。
そしてVMD(ビジュアルマーチャンダイザー)は、MDのアイデアに基づいて商品を「陳列」し、魅力的に伝え、「ディスプレイ」で来店や購入を促します。
来店した顧客の動線を意識したレイアウトを設計したにもかかわらず売れ行きが芳しくない場合、バイヤーやMDの商品選定が顧客が実際に求めているものと乖離していたり、商品に魅力があるにもかかわらず、接客不足で購入機会を逃しているなど、別の原因が考えられます。
そこで、店内にAIセンサーを設置することで、事前にターゲティングした顧客と実際に店舗に訪れている顧客の属性のズレを把握したり、スタッフの接客パフォーマンス状況を調べることで、伸び悩む売上の要因を発見することができます。
関連記事:
7. ターゲットを絞ったマーケティングキャンペーン
顧客の属性や行動、嗜好などを理解し、これらに基づいて顧客をセグメント化することで、小売企業は、顧客の心に響くターゲットマーケティング戦略を展開できます。
例えば、Starbucks(スターバックス)のモバイルアプリでは、顧客データを活用してパーソナライズされたオファーや特典を配信し、顧客エンゲージメントとロイヤルティを促進しています。
また、ターゲット顧客に最適化したプロモーション施策を実施した後は、AIセンサーで顧客の入店率を調べることで、施策の効果を検証することができます。
関連記事:
8. 需要予測の分析
需要予測分析は、過去のデータを使って将来のトレンドや需要パターンを予測する手法です。
小売企業は、AIセンサーを使って、当日や翌日の時間帯ごとの入店人数の推移を予測することができます。これにより、商品需要予測を立てるとともに、商品の在庫管理の精度を上げたり、必要な時に必要な数の接客・会計にあたるスタッフを手配することができ、機会損失の削減にもつながります。
また、店頭に並ぶ商品や販促物への反応などから、顧客の商品への興味関心度を判断することで、売上につながる商品やコンテンツを見つけることができます。
アメリカ企業「Walmart」(ウォルマート)は、様々な商品の需要を予測し、積極的に在庫管理と業務の効率化を実現している代表的な企業です。
関連記事:
- RetailNext ダッシュボード – 店舗のパフォーマンスと運営の最適化機能とは?
- 売り上げに貢献する「スタッフ配置の最適化」とは?
- 「POP UP ストア」の店舗分析
- 展示会のAIカメラ活用法 – 通行量・来場者数・各ブースの測定
9. 接客サービスの強化
小売企業はテクノロジーを活用し、チャットボット、ソーシャルメディア、モバイルアプリなど、複数のチャネルを通じて優れたカスタマーサービスを提供することができます。
顧客ニーズに合わせた迅速な対応は、顧客体験を向上させ、リピーターを維持し、顧客との長期的な関係を築くことができます。
アメリカを代表する大手小売企業「Best Buy」(ベスト・バイ)が提供するテクニカルサポートサービス「Geek Squad」(ギーク・スクワッド)は、AIを搭載したチャットボットが顧客をサポートし、顧客満足度とロイヤリティの向上に貢献しています。
また、店内にAIセンサーを設置することで、店頭における接客効果検証ができます。
スタッフの業務を可視化し、接客サービスを受けた後に購入に至った顧客の数や割合(購入率)、接客サービスを受けた顧客と受けなかった顧客それぞれの平均客単価などを算出できます。
これらの数値をもとに最も効果的な接客方法を採用し、スタッフ一人ひとりに研修を行い、フィードバックすることで接客によるエンゲージメントを高めることができます。
さらに、スタッフ・顧客の個々の動線から接客ポイントを改善することも可能です。顧客の滞留状況に応じてスタッフの配置や接客のタイミングを調整できれば、エンゲージメントが強化され、売上アップにつなげることができます。
関連記事:
- 接客パフォーマンスの評価基準と店舗での測定方法
- スタッフパフォーマンスと接客状況の可視化で、店舗の売上増加につなげる方法
- 【2024年版】2023年の小売ビジネスのトレンド振り返りと今後の期待
- 来店客とスタッフの動態マップを見る
10. 競争優位性と適応性の獲得
小売企業は店舗分析ができるテクノロジーを取り入れたり、流行や顧客の嗜好の変化に合わせて様々なビジネスモデルを採用することで、今日の流動的な市場において競争力を高めることができます。
例えば、NIKE(ナイキ)は店舗でAR(拡張現実)技術を活用し、顧客のショッピング体験を向上させることで、競合他社との差別化を図っています。
関連記事:
- 小売トレンド:リテールテイメントの新しい手法とAIカメラを用いた効果検証
- AIカメラで効率的な店舗分析を実現! ビューティ・コスメ販売店におけるデータ運用
- AIカメラ導入において考慮するべきポイント – 導入目的・設置環境・予算計画について解説!
- AIカメラ導入のポイント!- 店舗分析をスムーズに行うための製品・企業の選び方
まとめ
最新のテクノロジー、特にAIセンサーを活用した店舗分析ツールは、企業と顧客の双方に様々なメリットを提供することで、小売業界に変革をもたらしてきました。テクノロジーの導入によって、小売企業は店舗レイアウトを最適化し、パーソナライズされた顧客体験を提供できるようになり、業務効率の改善、売上の増加、顧客ロイヤリティの向上につなげています。
市場が変化し続ける中、小売企業は市場の動向に応じて顧客に適切なサービスを提供し、利益を増やし続ける必要があります。
RetailNextのテクノロジーを搭載したAIセンサー「Aurora(オーロラ)」導入に興味がおありの企業様は、GROOOVEにお気軽にお問い合わせください。
RetailNextのソリューションパートナー、GROOOVE
AIセンサーを導入し、顧客データを有効活用するためには、まずは導入目的を明確にし、自社のニーズに合わせて予算計画を行い、その後、具体的な改善施策に落とし込んでいく必要があります。
さらに、AIセンサーの費用対効果を最大限にするためには、システムの構築やデータ分析に精通した技術者やマーケターを確保し、継続的にデータを運用していく必要があります。
「RetailNext AIセンサー Aurora 導入実績 国内No.1」のGROOOVEは、ネットビジネス全盛の現代において、オフライン店舗の人の動きをデジタル化し、簡単・迅速にデータ活用できる環境を構築しています。また、AIセンサー導入後のデータ分析・運用をサポートするコンサルティングも行っています。