前回のケーススタディブログでは、本部における取り組み「セールスプロモーション」についてご紹介しました。
本部のもう一つの重要な取り組みとして、「VMD(ビジュアル・マーチャンダイジング)」があります。
本稿では、小売業におけるVMDの役割、店舗にAIカメラを導入してVMDのパフォーマンスデータを取得すべき理由について、当社のサービスで取れる指標とともにご紹介します。
本部の施策:VMD
VMDの役割①「店舗全体のレイアウト設計」
新商品が店頭に並ぶ前には、MD(マーチャンダイザー)が企画担当と連携して売上動向調査やデータ分析、新商品の販売に向けた計画・管理・ディレクションなどを行い、バイヤーが仕入れ先の選定や買い付けを行います。
その後、MDのアイデアをもとに、店頭に並ぶ商品を視覚的に訴求して、顧客の購買に結び付けるのがVMDの役割です。(ポイント・オブ・セールス・プレゼンテーション、PP)
また、VMDは、顧客の店内の移動経路を意識し、店舗内を回遊・滞留しやすく、購買につながる売場づくりを目指します。
顧客を商品の前や店の奥へスムーズに誘導できるように店舗全体のレイアウトを設計することから、VMDは「実店舗におけるPRのスペシャリスト」とも言えます。
VMDの役割②「エントランスのディスプレイ」
店舗入口のビジュアルプロデュースや制作をビジュアル・プレゼンテーション(VP)と呼びます。
VMDは、リサーチ(トレンド、競合分析など)に基づき、ブランドイメージやコンセプトを崩すことなく、ショーウィンドウやファサードの什器の変更、POP・看板の設置などを行います。
また、エントランスの装飾だけでなく、顧客の視線を意識した配置や、通り抜けしやすい陳列を行うこともVMDの役割です。
VMDの役割③「店内商品のディスプレイ」
売り出したい商品をマネキンに着せたり、サイネージのイメージに取り入れたりして、店内の商品ひとつひとつを魅力的に見せることを、IP(アイテム・プレゼンテーション)と言います。
アパレルの分野では、トレンドを取り入れたシーズンものの洋服やバッグ、帽子、アクセサリーなどの小物が売られていますが、それらを同じ系統色や雰囲気でまとめて陳列したり、パンツの丈を揃えたりして、顧客が購入するまでのストレスや負担をできるだけ感じないように工夫することも大切です。
AIカメラを活用したVMD施策の効果測定
VMDの最初の要となる指標は、入店率です。入り口の商品の見せ方を改善することで入店率を上げ、見込み客を店内に呼び込むことが売上につながる第一歩です。
まず、「どうしたらお客さんに立ち止まってもらえるか」をデータから分析し、その後「どうしたら店内を回遊してもらえるか?」「どういう方法が購入の後押しをするか?」を考えます。
入店率向上のためのエントランスのディスプレイ改善
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店舗前の通行量と来店客数から入店率を導き出す
類似のショップが並ぶ大型百貨店やモールでは特に、入口から商品へ誘導する売り場づくりを目指します。入口でブランドや企業の世界観やイメージを表現し、商品を綺麗に見やすくアピールできているかが入店率を上げるポイントの1つです。
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方向マップをもとに入口のディスプレイを改善する
入口を通過する来店客の移動方向を把握し、エントランスのレイアウトを改善することで入店率の向上を図ることも重要です。
店内におけるVMDのパフォーマンスを可視化する
顧客の動線は、複数のAIセンサーが店舗全体の広い領域をカバーすることで得られます。
店内における顧客の動きや顧客が足を止めた回数を可視化することで、目的のコーナーにうまく流れているか、接客ポイントはどこであるべきか、売り込みたい商品や人気商品などをどう配置すべきかなどを測定・検証することができます。
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露出率からエリアごとのポテンシャルを測定する
顧客の通過しやすいポイントを、エリアごとの露出率(=通過人数の割合)で分析します。
コーナーの顔となる商品を視認しやすい位置や向きに変更したり、什器や装飾を変えたり移動することで、全商品を視覚的に効果的な売り場にし、VMDのパフォーマンス向上を目指します。
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人の動きの痕跡を動態(ダイナミック)マップで確認する
店内における客の移動量の大小をカラーや濃淡で分けて視覚化します。これにより、人の流れを意識したレイアウトの改善や商品の配置替えなどの対策が可能になります。
店内におけるVMD以外のパフォーマンスを可視化する
来店客の動線が改善されているにもかかわらず売上が伸び悩んでいる場合、そもそもバイヤーやMDによる商品選定が顧客の求めるものとずれていたり、商品が魅力的であるにもかかわらず、接客漏れによる購買機会の損失が発生している等、別の原因があるかもしれません。
AIセンサーを活用することで、あらかじめターゲットとした顧客と実際の顧客の属性のずれを発見したり、スタッフのパフォーマンスを評価することができるようになります。
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各ゾーンにおける顧客の商品への興味関心度や顧客の移動経路を見る
取得できる指標としては、各エリアの商品に注目する顧客の割合や、滞在回数や滞在時間から商品への興味関心度を測る方法などがあります。
商品が見やすい位置(ゴールデンラインやターゲット客の視線の先)に陳列されているかを測定したり、陳列を変更後のエリアごとの顧客の滞在時間の変化等も合わせて検証することができます。
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来店客がどこに立ち止まり、どの商品に興味を持ったかを測定する
顧客が興味を持った商品棚やカテゴリを分析します。
対象エリアを通過する客数、滞在回数、滞留時間を分析し、商品の位置を動かしたり、類似商品を並べたりすることで、滞留状況、購買率や平均客単価の変化も調べることができます。
また、滞留のポイントに合わせてスタッフの場所や接客タイミングを調整することで、購買意欲が高まり、売上につながる可能性が高まります。
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来店客の属性を調べる
ターゲットとする世代のお客様が実際に来店しているかを調査したり、新商品セールや販売会などのイベントが、想定したターゲットに届いているかどうかを検証します。
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店舗スタッフの業務生産性を数値化する
接客機会を増やし、購買率・平均客単価の向上を図ります。
POSレジのデータとAIセンサーのデータを組み合わせて見ることで、接客して購入に至った顧客と接客をしないで購入に至った顧客の比率を把握できます。
また、時間帯別の見込み来店客数から、スタッフのスケジュールの最適化や、顧客の動線を元に接客ポイントの改善を図ることもできます。
【事例紹介】
AIカメラを使い店舗パフォーマンスの向上に成功した事例をご紹介します。あわせてご覧ください。
まとめ
VMDは、商品を「魅せる」演出をしたり、顧客の動線を意識したレイアウトを構築したりすることで、店舗の売上を向上させる重要な役割を担っています。
しかし、商品の売上実績を見るだけではVMDのパフォーマンスを正しく測ることができません。
こうした理由から、店舗にAIカメラを設置し、入店率や購買率、顧客動線などのデータを取得することで、VMDの効果測定を行います。
弊社ではAIカメラを活用し、精度の高い店舗計測データを提供するとともに、専門チームによる店舗計測・動線分析のアドバイスも行っております。
VMDの効果検証の仕方や、AIカメラの導入、データ取得に関する様々な疑問等、お気軽にお問い合わせください。
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