AIカメラには、AIを使用して、人間には見えない詳細なデータを理解し分析する能力があります。セキュリティ解析システムから社内業務の効率化、ターゲット顧客の行動分析まで、多岐にわたる用途で使用されています。
また、AIカメラは現代の小売ビジネスにおいても革新的な手段となっています。
店内の顧客行動に関する有益な情報から高度な洞察を得ることで、より具体的で効果的な戦略の策定を行うことができれば、店舗運営の効率化や売上向上につなげることが可能になるからです。
しかし、AIカメラの効果を最大限に引き出すためには、導入において留意するべき点がいくつかあります。また、導入後も収益性の高い戦略を構築・実行するためには、様々な要素が絡んできます。
本稿では、AIカメラ導入後の店舗利益の最大化に向けて、まず考慮するべき3点について詳しく掘り下げていきます。
AIカメラの導入において考慮するべきこと
AIカメラ導入時の注意点としては、主に以下の3点があります。
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具体的な店舗計測の目的を明確にする
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AIカメラが環境に適合していることを確認する
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導入予算を計画する
順に見ていきましょう。
1.具体的な店舗計測の目的を明確にする
AIカメラの導入を検討する際には、カメラの解像度、AIセンサーの取得精度や抽出するデータの種類、集計・分析機能などの技術的要件を考慮するだけでなく、まずは店舗測定のニーズや目的を明確にし、それに適した指標を取得できる必要があります。
ここでは、企業が達成したい目標に沿って、取得できる指標をいくつか挙げてみます。
目的1)広告戦略を成功させて集客力を向上させたい
キャンペーンやセール実施時の広告の集客効果を判断するには、入店客数(※)や入店率を取得します。施策前後の客数の増減や入店率の変化をみることで、その広告施策の訴求力を数値化し、今後も継続すべき施策かどうか、またはコンテンツの見直しなどの参考にすることができます。
※入店人数の計測は、リアルタイムで取得する入店カウントだけでなく、過去データとの比較や見込み人数の把握(客数の推移の予測)などの機能を併せ持つ、過去-現在-未来軸で分析できるシステムを選択することをおすすめします。過去の数値をもとに、来店客数が最も多くなるピークタイムを予測し、それに合わせて接客にあたるスタッフ配置の最適化を行うことで、キャンペーン実施時の機会損失の削減につなげることができます。
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目的2)新商品の企画時にヒントを得たり、商品販売後の顧客の反応を見たい
新商品を展開する際に、実際に来店している客層を分析することで売上につながるヒントを得ることができます。例えば年代や性別を取得し、ターゲットとなりうる顧客を選定します。
また、POSレジデータと連携させることで、各属性グループの購買率なども算出できます。属性グループに基づき来店状況や購買行動を分析することで、効果的な商品販売戦略を立てることができます。
さらに、商品販売後の顧客の反応を計測したい場合、店内の各エリアにおける顧客の滞留状況も計測できます。各エリアへの立ち寄り回数や滞在時間を計測することで、その商品やカテゴリーに対する顧客の興味・関心度を測ることができます。
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目的3)VMDの効果を検証したい
エントランスのディスプレイや店内レイアウトなどのVMD施策の効果測定では、入店者数のカウントや店舗入口からの方向マップの取得に加え、店内各所に複数のAIカメラを設置することで、顧客の動線を取得し、入店から退店までの回遊経路を確認することができます。
例えば、顧客が店舗入口から向かう方向、各エリアの商品陳列棚に立ち寄る順番、商品を吟味する時間(購入検討時間)などのデータを取得することができます。さらに、店内POP、デジタルサイネージなどに対する顧客の反応も、販促物への視認率や視認回数、視認時間などの計測から検証できます。
どの販促物が最も注目されているのか、顧客がどのエリアで最も時間を費やしているのか、どこを通って退店するか、レジに向かう主要な経路はどこかなど、カスタマージャーニーのあらゆる側面をデータ化することで、店内のレイアウトや商品陳列などにおける課題を抽出できます。
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2.AIカメラが環境に適合していることを確認する
AIカメラを最大限に活用するためには、設置時の環境要件も考慮します。
まず、店舗の設計図面を確認し、必要に応じて専門業者による現地調査を行います。店舗に実際にカメラを設置した場合に、センサーが問題なく店内の測定したい範囲をカバーできるか、データ取得を妨げる障害物がないかなどを事前にチェックします。
例えば、入口付近に大きな什器や鏡などの反射物がある場合、天井に設置するAIカメラが性能を発揮できない場合があります。この場合は、カメラの画角を調整したり設置場所を見直すか、測定したい位置に置くだけで計測できる卓上タイプの店舗測定ツールの導入もあわせて検討します。
また、AIカメラの導入にあたり、既存の光回線の用意が店舗になく、別途配線工事(LAN工事)が必要になるケースもあります。
GROOOVEでは様々なタイプのAIカメラをご用意しております。事前に店舗の設計図をお預かりし、データ取得に最適なAIカメラの設置方法をご提案します。また、天井設置型のAIカメラによる店内の景観が気になる場合は、天井埋込型にする特殊工事なども承っております。
3.導入予算を計画する
AIカメラを用いた店舗計測には、相応の投資予算が必要です。一般的に予算は以下の2つに分けられます。
– 初期費用:カメラやセンサーなどの機器費用と設置費用
– 月額費用:クラウドシステムの利用料、保守費用(メンテナンス費用)
入店計測や動線分析を行う際、高額な導入費用や設備費用が発生することや、契約内容によりライセンス契約が長期化したりする場合があります。
そのため、資金面やROI(投資回収期間や費用対効果)を考慮し、自社に最適な店舗計測ツールを選択する必要があります。
いずれにしても、予算計画を実行するにあたっては、なぜ店舗測定が必要なのか、投資予算に対してどのような効果が期待できるのか、具体的に見積もることができなければなりません。
目標値やKPI(重要業績評価指標)を設定したうえで、ROIを明示することで、予算計画がスムーズに行えます。
以下は、適切な導入計画が行われている好例です。
- AIカメラで客層を分析し、年代別・性別の売上比率を把握することで、ターゲット層へのアプローチを強化し、売上10%増を達成する。
- 人の流れを動線で可視化してカスタマージャーニーを見直し、レイアウト変更後の滞在時間の増加や回遊率の改善から、客単価5パーセント増を目標とする。
- 入店人数の予測値からスタッフ配置を最適化し、特にピーク時間帯のスタッフ不在による機会損失を防ぐことで、購買率を3%増やし売上アップにつなげる。
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まとめ
AIカメラの機能は多岐にわたります。そのため、AIカメラを導入する前に、計測の目的や課題を明確にし、それに適したAIカメラを選定する必要があります。
また、初期導入費用だけでなく、運用を継続するための保守費用や契約期間などにも留意し、費用対効果を考えて導入計画を進めることが望ましいです。
導入にあたって考慮すべきことをクリアしたうえでAIカメラを導入することで、店舗オペレーションの改善や、販促活動や広告施策の効果の最大化、新商品の販売戦略の最適化などを実現することができます。
弊社では、AIカメラ導入前後の一貫したサポートや店舗計測のコンサルティングも行っております。
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