ケーススタディ

無人店舗でロボットが活躍 – AIが解決する小売業の抱える課題とは

近年のAI技術の進歩により、私たちの生活は大きく変化しました。

物流や製造業、飲食店などのサービス業にいたるまで、ロボットが人間の代わりに活躍する場も増えてきています。

そんな中、小売業界の新たな販売形態として注目されているのが、「AIロボットが活躍する無人店舗」です。

これまで人手に頼っていた作業を、人工知能や機械学習を搭載したロボットに任せることで、店舗業務の自動化ができるようになり、労働力不足の補完や作業の効率化など、多くのメリットをもたらしています。

本記事では、小売業におけるAIロボット導入のメリットや、実際に導入した店舗の成功事例を紹介します。そして、このような形態の店舗が、今後小売店のどのような課題を解決できるのかを考察します。

AIロボットのスキャニング機能で在庫管理を最適化

 

AIロボットによる無人店舗とは?

AIロボットが運営する無人店舗は、その名の通り、人間(スタッフや従業員)がいない店舗で、AI搭載のロボットを活用して店内業務を自動化する、新しいビジネスの形態です。具体的には、商品管理から販売、接客、決済処理などを自動化します。

無人店舗の運営の仕組み

AIロボットが活躍する小売店は、効率的な販売を可能にする最先端のIT・AI技術の導入により成り立っています。

例えば、スタッフの代わりにAIやマシンラーニングを活用して在庫管理を行い、商品の補充タイミングや在庫数を最適化します。また、顧客に対しては、タッチパネルやスマートフォンを通じて商品情報を提供したり、問い合わせや接客にはAIチャットボットを活用します。

飲食店(外食産業)への導入例として、国内のファミリーレストラン「ガスト」では、ネコ型ロボットが食事や飲み物の提供に配置され、人手不足の解決策として活躍しています。

また、顔認証やバーコード読み取りなどの技術を使って顧客を認識し、商品代金の決済を行う決済サービスも、レジスタッフの代わりに導入されています。

 

コンビニからスーパーに至るまで、小売業が直面している現状とは?

消費者のニーズは日々変化しています。加えて、購買チャネルの多様化やデジタル化が進み、小売業界では競争が激化しています。また、労働力不足や人件費の高騰、消費者行動の変化による売上の減少など、多くの課題を抱えています。

こうした中で、コンビニエンスストアやスーパーマーケットをはじめとする小売業界では、より多様化する消費者ニーズに対応し、効率的な店舗運営を行うため、様々な取り組みが行われています。その一つが、AIロボットの導入です。

 

小売業におけるAIロボット導入のメリットは?

①スタッフの人手不足の解消

AIロボット活用の大きな魅力の1つは、労働力不足の解消です。

現在、小売業界は慢性的な人手不足に悩まされており、特にコンビニエンスストアや飲食店では、深夜や早朝のシフトを担当するスタッフの確保が難しい課題となっています。しかし、AIロボットを導入して人手不足を補うことができれば、店舗の運営効率が向上します

②人件費の削減と労働環境の改善

経営者にとって、人的コストの削減が見込めることは大きなメリットです。また、AIロボットは日常業務に必要な作業を自動化できるということで、労働環境の改善にも寄与するといえます。

実際、従業員の健康やワークライフバランスを考慮すると、24時間体制の運営は難易度が高いです。しかし、店頭にAIロボットを導入すれば、スタッフが不在でも売り場を維持することができます。

以上のように、AIロボットには、労働力不足の解消、人的コストの削減や労働環境の改善といったメリットがあります。

次章では、実際の小売業におけるAIロボットの導入事例と、その効果について詳しく見ていきます。

 

小売業におけるAIロボットの導入事例

①VRを活用したコンビニの品出しロボット

大手コンビニエンスストア(ファミリーマート・ローソン)がVRを活用した実験店舗を設置した事例です。店内のロボットのカメラ映像をVRでモニタリングし、映像に合わせてロボットを遠隔操作することで、店員の代わりに商品の検品や陳列を行うシステムです。

店舗業務の3割を占め、体力を要するといわれる陳列作業をロボットに代行させることで、人手不足を補い、スタッフのパフォーマンスを向上させる目的です。人間と同じ精度で効率よく業務が行えるよう、ロボットは現在も開発と改良が続けられているとのことです。

参照:

  1. 「ロボット×小売り」のスタートライン、コンビニで導入試験始まる|ニュースイッチ
  2. 小売業界で活躍するVRの活用事例をご紹介|株式会社One Technology Japan

②無人店舗「auミニッツストア 渋谷店」

KDDI株式会社は、2022年9月13日、ネットワーク連動型無人店舗「auミニッツストア 渋谷店」を東京都渋谷区にオープンしました。

店舗面積はバックヤードを含めて約50m2と省スペースで、オープン当初は、ローソンの飲料やデザート、コストコの食料品や日用品など、宅配で人気の商品を取り揃えていたそうです。

注文は宅配アプリの「menu」から行い、商品の認識からピッキング、袋詰めまでをロボットやセンサーが全自動で行います。配達またはテイクアウト(店頭での受け取り)が可能です。

auミニッツストア 渋谷店におけるこの取り組みは、労働人口減少に対応しつつ、ネット通販が当たり前の時代に、ストレスフリーな顧客体験を提供する画期的なものでした。

参照:

  1. ロボットを活用した無人店舗「auミニッツストア 渋谷店」オープン|KDDI株式会社
  2. (YouTube)ロボットによる自動ピッキング!渋谷modiにある無人店舗auミニッツストアを体験|AIビジネスチャンネル (ABC) / AI Business Channel

これらのケーススタディは、AIロボットを導入した店舗が、人手不足の解消や労働コストの削減だけでなく、新たな顧客体験を提供する手段としても有望であることを示しています。

 

AIロボット × 無人店舗の将来性

AIロボットは、新たな小売業の形として、今後さらに普及することが予想されます。

その理由は、テクノロジーの進化に伴い、消費者のライフスタイルや価値観が日々変化しているからです。よりスピーディーに、より便利に、時間に縛られることなく自由なショッピング体験を求める消費者にとって、AIロボットが活躍する店舗は魅力的な選択肢となっています。

IT技術やAIの加速度的な進化により、スタッフが接客などのより高度な業務に注力し、店舗運営の品質向上や新商品や新サービスの開発に時間を割くことが可能になれば、結果として、小売店舗の運営効率を大幅に向上させ、企業利益の最大化にもつながる期待が持てます。

 

まとめ

本記事では、AIロボットを導入した無人店舗の概念と、小売業が現在抱えている課題、そしてAIロボットがそれらをどのように解決できるのかについて、事例とともに解説しました。

現在、AIやロボット技術、ビッグデータ、IoTなどの技術は日進月歩で進化しており、それに伴い、私たちが享受するライフスタイルやサービスも日々進歩しています。

AIロボットの存在は、人手不足や高齢化社会といった課題を抱える地域や産業にとって、新たな解決策となり得ます。また、消費者のニーズに応じた多様なサービスを提供することができれば、店舗を訪れる消費者の購入体験は一層豊かなものになります。

人間とロボットが共存する未来は、小売店のあり方を変え、新たな価値創造に貢献し、これからの時代にふさわしい革新的なソリューションを提供していくでしょう。


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