ケーススタディ

接客パフォーマンスの評価基準と店舗での測定方法

あなたの会社では、店頭でどのような接客を行っていますか? 顧客満足度を向上させ、売上を伸ばすために、どのような接客戦略を立て、店頭スタッフにフィードバックをしていますか?

スタッフの接客パフォーマンスを評価するためには、まず明確な評価基準を設定し、接客状況を表す指標(数値)を測定する必要があります。

本稿では、具体的な接客パフォーマンスの評価方法とその概要について解説します。また、AIカメラを導入して店頭でスタッフのパフォーマンスを測定する方法についても取り上げます。

接客業に従事する方だけではなく、経営者や管理職の方、本部の方針構築にもおすすめの記事です。ぜひ接客の評価体制について再確認し、店舗でのより良い顧客サービスの提供にお役立てください。

 

接客パフォーマンスとは?

接客パフォーマンスとは、企業や組織の従業員、店舗のリーダー、スタッフなどが、顧客とコミュニケーションを取り、顧客の期待に応えることで、満足感を向上させるサービス能力のことを指します。

株式会社クロス・マーケティングの「接客に関する調査」(2016年)によると、実際に2人に1人が、接客サービスの良し悪しを理由に来店していることが明らかになりました。

■調査結果 (一部抜粋)
●接客の良さで訪れている店舗の有無では【ある】(47.6%)、【ない】(52.4%)と約半数に分かれた。【ある】を性年代別にみると、20代・30代ともに女性よりも男性の方が割合が高く、接客の良さを来店理由とするのは男性に多いことがうかがえる

※調査対象:東京都・神奈川県・千葉県・埼玉県に住む20~39歳の男女

また接客の良さに関する口コミの伝達の有無に関しては、家族や友人・知人に直接話したことがある人が53.8%、特に話したり投稿をしていないが40.9%、SNSやお店の口コミページなどへの投稿が27.2%とあり、接客の良さについて、直接誰かに共有したいという顧客の心理状態がうかがえます。

参照:全体の2人に1人が「接客が良いこと」を理由に来店。接客の良し悪しに対する口コミが、今後の来店意向に大きく影響か|株式会社クロス・マーケティング

これは、店舗での接客レベルの高さが、顧客の来店を促すうえで大きな役割を果たしていることを示しています。

 

“良い接客”の3つのポイント

顧客が良い印象を抱く接客のポイントとしては、丁寧さ、迅速さ、親切さ、知識・スキル、問題解決能力などが含まれます。これらの要素が揃うことで、接客パフォーマンスの能力が高い=良い接客であると評価されます。

1.顧客応対の丁寧さと迅速さ

接客態度や言葉遣いは丁寧、親切なものを心掛けます。顧客が何を求めているのかを素早く理解し、その要望に応えるために適切な提案をすることが求められます。そのためには、まず聞き上手になり、顧客の反応を細かく観察することが必要です。

2.商品知識の豊富さ

店頭での接客サービスが重要な位置にある小売店やブランドでは特に、会話に奥行きを持たせる専門的な知識とスキルが必要になります。商品やサービスについての深い理解はもちろん、それを顧客に適切に伝えるコミュニケーション能力も求められます。また、常に自己知識を深め、最新の情報やトレンドに敏感でいることも大切です。

3.問題解決能力の高さ

顧客の要望に対する反応の速さや問題解決までの処理時間も、接客サービスを良いと顧客が感じる上で、重要な要素の1つです。店内で発生したトラブルやクレームには、迅速かつ誠実に対応します。問題をスムーズに解決することで、顧客満足度を高め、リピーターを維持させることができれば、売上の安定化にもつながります。

(体験談)実際に、弊社のメンバーが以前、国外の旅行代理店を介して格安航空券を購入したところ、代理店側のサポートの不備で後々大きなトラブルや不安を抱えることになり、そのことがきっかけで別のエージェントを利用することになりました。問題解決能力の高さはどの業界においても、顧客の維持につなげるための要であるかもしれません。

 

接客パフォーマンスの評価指標とは?

ここでは、実際に接客パフォーマンスがどのような指標を用いて評価されるかをご紹介します。

接客時間

接客時間とは、スタッフが顧客に応対している時間です。適切な接客時間が確保されているかどうかは、顧客満足度に大きく影響します。短すぎても長すぎてもいけず、「顧客が求めている情報を的確に伝えるための十分な時間」が必要です。

顧客待ち時間

顧客待ち時間は、顧客が商品やサービスを購入したり、疑問に対する答えやトラブルに対する解決策を得るまでに、どれだけの時間待たなければならなかったかを表します。

実店舗においては、入店数をカウントして常に店内の混雑状況を確認し、顧客の待ち時間を短縮・解消したり、入り口で目安の時間を提示する他、待ち時間を有効活用できるサービスを提供することが求められます。

アップセルやクロスセルの成功率

アップセルやクロスセルの成功率は、主に小売店やブランドにおいて、接客を通じた販売力を評価するための指標です。アップセルはより高価な商品やサービスを顧客に提案して客単価を上げる手法で、クロスセルは、関連商品やサービスを提案することで、複数の商品を購入してもらうことで客単価を上げる手法を指します。

クレームの回数(苦情件数)

クレームとは、顧客がサービスに不満を持ち、その不満を直接企業に伝える行為を指します。クレームが少ないほど、商品やサービスの質、接客スキルなどが高く、逆にクレームが多いほど、これらに問題があると言えます。一方で、クレームは接客スキルなどを見直すための貴重なフィードバックでもあります。苦情を適切に処理し、その内容をもとに販売戦略を練ったり、売り場を改善させることができます。

顧客満足度(CSAT)

顧客満足度とはCSAT(Customer Satisfaction Score)とも呼ばれ、スタッフの態度や行動、商品の質など、顧客が貴社のサービスにどれだけ満足しているかを測定したものです。通常、口コミやレビュースコア、星1〜5段階評価などで判断されます。この指標は、あらゆる業界・ビジネスの業績評価指標として有効です。顧客が直接的に担当スタッフのパフォーマンスをフィードバックするため、非常に信頼性が高いと言えます。

ネットプロモータースコア(NPS)

ネットプロモータースコアはNPS(Net Promoter Score)とも言われ、顧客があなたのビジネスやサービスを他人に推奨する可能性を数値で表したものです。高いNPSを獲得することは、顧客ロイヤルティに優れており、顧客が貴社の商品やサービスを信頼していることを示します。顧客が信頼感や満足感を得ることができれば、その結果、企業の売上増加が期待できます。

他にも様々な指標があります。接客パフォーマンスを評価する上でこれらの指標を一つの基準とすることで、スタッフの強みや店舗の改善点を見つけ出し、接客サービスの向上につなげることができます。

 

AIカメラを活用した接客状況の可視化と評価方法

AIカメラを活用した店舗分析のメリットのひとつは、店内における接客行動を数値化し、評価できる点です。AIカメラは、接客スタッフと顧客の交流ポイントを記録し、そのデータを収集することで、接客状況を可視化し、具体的な改善点を見つけるヒントを導き出します。

実店舗を構えるブランドや小売業では特に、日々の接客パフォーマンスを客観的に評価し収益化を促進するために、積極的にAIカメラの導入が行われています。

当社で提供している店舗計測システムで取得できる、接客パフォーマンスに関連する指標は、以下の通りです。

1. 「接客回数」の測定

接客回数とは、店舗や施設でスタッフが一日に何回接客したかを示す数値です。顧客との対話の頻度や顧客サービス提供の活発さを把握することができます。

2. 「接客時間」の測定

接客時間は、スタッフが顧客との接点開始からどの程度の時間を費やしているかを示す数値です。特にジュエリーやアパレルなどのハイブランドを取り扱うお店では、顧客との充実した対話により深い関係性を築くことができるため、この数値を算出し、売上への影響を検証します。

3. 「スタッフの生産性」の算出

売上高をスタッフの総労働時間で割って、1時間当たりの生産性を算出します。スタッフの作業効率、接客効率、シフトが適切かどうかを判断することができます。

RetailNextのダッシュボード(入店数、購入率、客単価、スタッフの生産性などを算出)

4. 「接客した客の購入率」の算出

接客を受けた後に商品やサービスを購入したお客様の割合を、「接客後に購入に至った客数 / 全体の購入客数」で求めます。

RetailNext(リテールネクスト)のAIカメラは、顧客やスタッフの行動パターンを動線で取得します。AIカメラが捉えた「接客を受けた後にレジへ向かった顧客数」をPOSシステムの購入数データと掛け合わせることで、接客した顧客の購買率を算出することが可能です。

接客した顧客の購買率は、接客がどの程度購入に影響を与えたのかを客観的な数値で把握することができるため、スタッフのパフォーマンスを測る上では、平均客単価や購買率の計測と同様に重要な指標です。

上記の各指標は複数店舗で比較することもできます。

場所毎におけるスタッフ一人当たりの滞留回数・平均滞留時間・接客回数・接客した買い物客の割合(赤枠)

 

接客パフォーマンスが良いと向上する指標は?

優れた接客パフォーマンスを提供することで得られるメリットを、具体的な指標を基に説明します。

リピート率(再来店率)

リピート率とは、顧客が一定期間内にあなたのビジネス(店舗)を再び利用する頻度を示す指標です。高いリピート率は、あなたの商品を気に入り、接客などの顧客サービスに満足していることを示しています。

購入率と平均客単価(CVR、ATV)

優れた接客パフォーマンスは、顧客の購入率平均客単価にも影響を与えます。

購入率とは、来店した客が商品やサービスを購入した割合を示す指標です。接客スタッフが顧客のニーズを理解し、それに対応する提案を行うことで、顧客の購買意欲を刺激し、購入率を上げることが可能です。

平均客単価は、顧客一人当たりの平均購入額を示します。顧客がスタッフの接客に満足すれば、より多くの商品を購入したり、価格を上げた商品の提案でも受け入れる可能性が高くなり、平均客単価が上昇します。

売上目標とあわせてこれらの数値目標を立て、実際の値と比較することで、スタッフのパフォーマンス状況をより詳細に可視化できるでしょう。

■ RetailNext(リテールネクスト)の「スタッフ配置最適化」機能とは?

混雑時に接客スタッフが不足していると、顧客は待たされることに不満を感じる可能性があります。一方、閑散とした時間帯にスタッフが過剰にいると、無駄な労働力となってしまいます。

RetailNextのAIカメラには、過去の来店客数の推移から未来の入店数を予測する機能が備わっています。曜日や時間帯ごとの最適なスタッフ人数を抽出することで、貴社店舗のパフォーマンスと運営最適化のサポートをします。顧客と積極的にコミュニケーションを取り、売上を向上させましょう。

RetailNextの特徴
  1. ダッシュボードで入店状況を見ながら、ピーク時に必要な人数のスタッフがレジや接客対応ができるように配置することができる
  2. スタッフ不在による機会損失を防ぎ、購入率や平均客単価を向上させると同時に、労働力を最適化し、人件費を削減するためのヒントを得ることができる

 

AIカメラのデータを使った接客評価が、小売業の売上達成に寄与?

小売業界では通常、年ごと、月ごと、日ごとまたは時間ごとに売上目標時間あたりの売上目標が設定されています。

売上目標を達成するためには、店員一人ひとりの接客パフォーマンスが高いことが極めて重要です。

現在、店舗ビジネスにおける接客評価は、従来のリーダーや店長による定性的・主観的なものから、数値に基づく定量的・客観的なものへと変わりつつあります。

現代のリテール業界において、AIカメラを活用した接客分析は、データから接客を評価し、ビジネス戦略に反映させる画期的な手段です。

売上を生み出すリアルな現場で、改善点を明らかにすることができれば、より効果的な接客スキルやサービスが生まれ、ひいては顧客満足度やロイヤルティの向上にもつながります。

 

まとめ

接客パフォーマンスを評価する基準は多岐にわたります。重視すべき項目は、事業内容や業種、サービスの性質などによって異なります。そのため、適切な評価基準を設け、接客サービスの向上を図ることが大切です。

GROOOVEは、AIカメラでオフライン店舗のデータ収集を自動化し、接客パフォーマンスを最大化するお手伝いをいたします。  

AIカメラで得られたデータから接客における強みや課題点を洗い出し、スタッフのスキルアップや業務の最適化に活用することで、顧客満足度の向上、ひいては企業の収益性向上につなげることができます。

AIカメラの導入や接客パフォーマンスの測定について、より詳しい情報をご希望の方は、お気軽にお問い合わせください。


 

当社はRetailNextのAIカメラ導入実績「日本国内No.1」

私たちは、世界中の店舗ビジネスのDX化、データ分析、集計、活用を支援しています。

オンラインビジネス化が進む現代において、オフライン店舗の人々の動きをデジタル化し、簡単・スピーディーにデータ運用できる環境を構築します。


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